半年以上前に書いた第67回富士登山競走(その1)の続きです。
は、半年って!(笑)
馬返しから佐藤小屋はトレイル区間。
登山道となり道幅が狭く、一つの列が出来ていた。
その列の流れに乗るだけでは全力とはいえないので、少しの隙間を見つけては前に前に、、、
足場の悪い所などあまり人が通らないところも躊躇なく攻めた。
文体、こんなだったっけ?(笑)
記録証を見るとこの区間で13位順位を上げたみたい。
ほとんど抜かれることもなかったので、昨年の五合目コースに比べたらなかなか上手くいったのではないか、と自分では思っていた。
渋滞すると聞いていた佐藤小屋の手前はボリュームゾーンより遅いせいか、止まることなくすんなりと五合目に到着。
■五合目佐藤小屋(標高2,230m)
2:16:08(1:05:17)
馬返しからはいい感じに登れたと思ったけど、実際には1時間5分もかかっていたことがわかり少しへこむ。
実は1時間2分ぐらいで行けるのではないかと予想していた。
隊列の流れに乗っている間で結構時間を使ってしまったな、、、
なんてその時は周りのせいにしていたが、そんな昔の自分に声を大にして言いたい。
それ、実力ですからーーー!!!
ちなみに70回大会からはこのタイムで関門アウトらしい…(;´Д`)
佐藤小屋ではもう何を食べたか忘れたけど、エイドの給食と持参のエネルギーゼリーを摂取。
既に体力の限界が近づいているなんてことはつゆ知らず、想定より遅かった分まだまだ行ける!と、相変わらず都合よく考え、本八合目を目指して再び登りだした。
少し登るとほしこさんの応援♪
元気の源、コーラをいただく。すると後ろを走っていたらしくイタさんが登場。
イタさんには色々聞きたいことがあったけど(笑)挨拶だけで先を急ぐ。
また少し登ると今度は渋滞で完全にストップ。
正直この時はホッとした。
気持ちは折れていないものの、佐藤小屋までとはまるで違い、流れに乗るだけで精一杯という状況だったからだ。
スタート時に心に誓った『本八合目まで全力で登る』を自分に言い聞かせる。
まだやれる!! いや、やる!!
森林限界を越えて視界が開け、半分以上登ってきたにも関わらずまだまだ巨大な富士山が目の前に現れた。
ここからは苦手な砂礫ゾーン。
必死に前の選手に食らいつき六合目安全指導センター(標高2,380m)を通過。
割と道幅の広い九十九折りのこのあたりでは、道の両端にそれぞれ列が出来ていた。
ぎりぎり流れに乗って進むが、ちょっとでも気を抜くと前との間が開いてしまう。
さすがに体力の限界を感じてきた。
徐々についていくことが出来なくなり、後ろに迷惑がかかるので隊列から離脱。列のない真ん中を歩き始めた。
一気に疲れが出てきて立っていることすらしんどい状態。
その場に大の字で寝転がりたいという思いにどんどん脳が支配されていく。
”休みたい”でも”止まりたい”でもない、、、
寝たい!!だ(笑)
寝ることに比べたら止まることぐらい大したことではないかも…
心が折れてついに歩みを止めてしまった。
膝に手を置き深呼吸をする。
数秒だけ呼吸を整えて再び登り出す。
そこからはいっぱいいっぱいになるまで進んでは止まって呼吸を整える、ということを繰り返し、どうにか七合目の花小屋(標高2,700m)に到着。
ここから先は岩場。
手も使って登ることになるので、足は終わっているけど上半身で登れるかもしれない!
手袋を装着して気を強く持ち直し、ごつごつの岩場に挑む。
が、、、
一歩目でよろけた(笑)
立ってるだけがやっとな人に岩場を登れるわけがない。
岩に座って一瞬途方に暮れた。
『本八合目まで全力で登る』
これが今日の課題だ。本当に力尽きるまで進むしかない。
少し登っては休み、また少し登っては休む。
もはや普通の登山者よりも遅く、とてもレースに参加しているとはいえないような状態だけど、休む時間は極力短くして自分なりに精一杯登った。
気付けば選手は少なくなり、ほとんど最下位という位置。
周りにいる選手は私と同じようにやられてしまっているようだ(笑)
このペースではどう考えても本八合目の関門に間に合わないことはわかっていたけど、ヘロヘロなもの同士で声を掛け合って必死に登った。
傍からみたらただ休み休み登っている人にしか見えないだろう。でもそれが全力。
自分の中ではMAX追い込んだ。
人生で一番キツイと感じた瞬間だった。
■八合目太子館(標高3,100m)
4:18:25(2:02:18)(←時計を止めたの後だったような)
太子館の給水所では既に撤収作業が始まっていた。
水をいただきつつ冷静になってこの先を考える。
もう本八合目の関門は閉鎖されている時間。
恐らく関門通過は無理だろうと思っていたから、本八合目まで全力で登ることを目標としていた。
だからこのまま登り続けたい。
けど、このペースだと1時間、、、いや、下手したら2時間かかってしまうかもしれない。
もうほとんど力が残っていない状態なので、下山するのにも少し休む時間が必要だ。
結局この先に進むことはどう考えても無謀だったので、ここでレースを止める決断をした。
すぐに脇に寝転んでみたけど日差しが痛くて寝ていられず…(笑)
山小屋の壁の日陰になっている小さな窪みに座りこんでしばらく休んだ。
まだ山頂の制限時間は過ぎていない。
この間にも必死に闘っている選手がいると思うと、とても情けない気持ちになった。
恒例のネコさんの動画はこれかな?
実はまだ見ていない。
見ることができない。
時間がたてば見れるかと思っていたけど今でも見る気になれなかった…
ただでさえ山を登る能力の低い自分が練習量の少ない状況で参加したわけだから、この結果は当然のものではあるのだけれど、まったく歯が立たなくて、微塵も可能性を感じられないというのはやっぱりへこむ。
自分の存在すら否定された気持ちになってしまう…
初めての富士登山競走山頂コースはコテンパンに叩きのめされて、こっぱ微塵に打ち砕かれた、そんなレースでした。
けどね、、、
私は知っています。
諦めたらそこで全てが終わって負けが決まる。
でも諦めずにずっとずっと挑戦し続けていたら、たとえ勝利することは出来なくても負けることもない。
休憩後、太子館でコーラを買おうと思ったら売ってなくて、仕方なく500円の高級ウォーターを購入。
ついさっき飲んだ給水の水と全く同じ味でした(笑)
みんな凄いわ。
おわり
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